こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。
今日は久しぶりに戸籍の読み方について、お送りします。
金融機関はじめ、様々な相続手続きをすすめる上で、戸籍の収集は必要となるのですが、被相続人の出生から死亡までの戸籍すべてを集めても、被相続人と同じ戸籍上には登場しない相続人がいるケースがあります。
いや、正しく言えば、登場はしているが、被相続人の身分事項欄にさらっと書かれているだけで、『戸籍に記録されている者』としての表記がありません。
それは、被相続人と相続人が、養子縁組(普通養子縁組)をした関係性にある場合です。
通常、養子縁組をした場合、新たな養親となった親と同じ戸籍に、新たな子ども(養子)として名前が記録され、養親と養子が同じ戸籍に入ります。
ところが、養子縁組をしても、養子が養親とは別の家庭(養子がすでに誰かと結婚して別の家庭を築いている)にいるような場合、養親の戸籍には一度も入ることがありません。
なかなか理解しにくいかと思うので、以下例をご参照ください。
(例)
●A(養親)とB(養子)が、養子縁組をした。
●B(養子)には、配偶者(夫)がいる。
このような場合、戸籍上では下記のような処理がされます。
●Aの戸籍の身分事項欄に、Bと養子縁組をしたと記録される。
●Bの戸籍の身分事項欄に、Aと養子縁組をしたと記録される。
●Bの続柄欄に、Aが養親(養父または養母)と記録される。
戸籍上の記録は上記だけのため、A(養親)の戸籍上では、A(養親)の身分事項の欄をよく見ない限り、Bの名前を見つけることができません。
つまり、実際には、被相続人の摘要欄(= 身分事項欄。旧戸籍では、名前の上の欄。現在の戸籍表記では、名前の下の欄。)をよく見れば、「養子縁組をした」旨の記載が載っているのですが、この事実を知らない方が戸籍を見ても、「戸籍に記録されている者」としての名前表記はされていないので、気付かないケースが多いです
そして気付かないまま相続手続きをしようとして、金融機関や法務局等に提出してから指摘され・・・
そうなると、その養子縁組された相続人も相続手続きに関わってもらう必要があるので、相続手続きは一旦ストップ
先に進めたくても、その相続人なしには進められなくなります
戸籍がコンピュータで管理されるようになってから、戸籍はだいぶ読みやすくはなりましたが、戸籍の読み方を熟知していないと、こうした細かい点を見逃してしまう事もあるかと思います。
昔の古い戸籍であれば、現在の戸籍よりも煩雑な記入をしてあるので、尚更です
相続手続きで戸籍を収集される場合は、『戸籍に記録されている者』の名前を確認するだけではなく、かならず『身分事項』の欄も確認するようにしてください
なお、確実に、早期に手続きをすすめたいというご希望がある方は、やはり相続の専門家にご相談いただくことをオススメいたします。
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