カテゴリー別アーカイブ: ★相続手続きについて

非嫡出子を嫡出子とする方法

こんばんは。

相続対策コンサルタントの司法書士 鈴木敏弘です

今日も嫡出子・非嫡出子についてです。
(昨日までの関連記事はこちらから↓どうぞ)
 →嫡出子・非嫡出子とは? 
 →嫡出子と非嫡出子の相続分の違い

昨日の記事では、同じ母親から生まれても、
生まれた時の状況によっては嫡出子であったり、非嫡出子となってしまったりすると説明いたしました。

日常生活においてはどちらでもあまり違いはないように思いますが、
相続が発生すると、相続できる権利分に大きな差が出ます。
 →詳しくはこちら「同じ母親から生まれても相続割合が違う?マウス

生まれたタイミングの問題で「非嫡出子」となったら、
一生「嫡出子」にはなれないのか?

それは違います。

「非嫡出子」から「嫡出子」になることもできるのです


それはズバリ、「養子」になれば可能です


昨日のケース(母親:花子さん)でいうと、息子が非嫡出子にあたりますが、養子縁組の手続きを行なえば、嫡出子となることができます。

お腹を痛めて生んだ実の子どもなのに、養子縁組できるのか?

という疑問がある方も多いかと思いますが、法務省の考え方によると
実の子どもでも

 非嫡出子の場合は、養子縁組により嫡出子の身分を取得し、『地位向上』という実益があるので養子縁組できる」

とされています。

「地位向上」・・・要するに、非嫡出子が嫡出子という立場を得ることにより、相続上での身分が嫡出子と同様となる

つまり相続分が2倍に増えるということです。

逆に言うと、すでに嫡出子である場合は、地位が変わらない(利益がない)ので養子縁組できない、ということです。

また、民法798条によると、未成年者の養子縁組であっても
 「 自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合 」
には、家庭裁判所の許可は不要となります。
 →直系卑属とは? 

なお通常、未成年者と養子縁組する場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。

以上、ここ数日長く続きましたが、嫡出子・非嫡出子に関する情報でした。

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同じ母親から生まれても相続割合が違う?

こんばんは。

相続対策コンサルタントの司法書士 鈴木敏弘です

今日も嫡出子・非嫡出子についてです。
(昨日までの関連記事はこちらから↓どうぞ)
 →嫡出子・非嫡出子とは? 
 →嫡出子と非嫡出子の相続分の違い

昨日の記事では、嫡出子と非嫡出子の権利分の差について書いてみました。
昨日の記事内に出した例えは、まだ一般的に理解しやすいような気がしますが、いかがでしたでしょうか?

今日はもう少し複雑となる、嫡出子と非嫡出子の間にある相続権利の差について、例えを用いてお話します。

花子さんという女性がいます。
彼女は20歳の時に、未婚のまま息子を出産しました。
その後、25歳で息子の父親ではない男性と結婚。その男性との間に、可愛い女の子が生まれました。
しかしその後に離婚してしまいました。
離婚後は、花子さんが必死に稼いで、親子3人で仲良く暮らしてきました。
花子さんにとっては、2人の子どもが何より大切で、どちらにも同じように愛情を注いできました。
その後花子さんが死亡し、相続手続きが開始されました。
その時、2人の子どもは(きっと天国では花子さんも)驚く事実を知ってしまいました。
なんと、2人とも同じ母親から生まれたのにもかかわらず、法律上で決められた法定相続分に違いが出たのです。


この場合、息子は未婚時に生まれたため「非嫡出子」となります。
逆に、娘は父親がいた時に生まれた子どものため「嫡出子」となります。
よって、花子さんの遺産を相続する場合、

●嫡出子:非嫡出子=2:1の割合

となることから、息子の相続分→3分の1、娘の相続分→3分の2、となるのです。

昨日の記事のような愛人関係のもとに生まれた子どもではなく、ただ生まれたタイミングの違いによって、同じ母親から生まれた場合でも法定相続分には違いが出てしまうのが、この嫡出子・非嫡出子の注意すべき点です。
(ちなみに、非嫡出子の相続分については、差別である、違憲であるとの考えが多くありますが、最高裁では合憲と判断しており、いまだに法律の改正には至っていないのが現状です。)

現行の法律上では、子どもを出産する時期についても注意しないといけない・・・
といってもなかなか注意して変わるものでもないかと思いますが

明日は、しつこいですが、また今日の話のつづきです。
今日のように、「同じ母親から生まれても相続割合が違う」場合でも、非嫡出子の相続分を嫡出子と同じ割合にできる方法があります。
 
矢印つづきを更新しました「非嫡出子を嫡出子とする方法」マウス

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嫡出子と非嫡出子の相続分の違い

こんばんは。

相続対策コンサルタントの司法書士 鈴木敏弘です

今日は昨日からのつづき、嫡出子と非嫡出子についてです。
 →嫡出子・非嫡出子とは?

昨日の記事で、嫡出子と非嫡出子について、「相続手続きを行なう上では大きな差が生じてきます」と記載しました。

具体例をあげて、どのような差が生じるのかを説明しますね。

まず、相続が発生した場合、各相続人がどれだけ遺産をもらえるのか。

「法定相続分」といわれる、各相続人に与えられた権利、
遺産配分割合が法律で定められています。

 →法定相続分とは?

その法定相続分が、非嫡出子の場合は、嫡出子の半分しかありません

たとえば、マスオさんという夫には、サザエさんという奥さんがいます。
2人の間には、たらおという子どもが1人います。
(どこかの有名な一家を想像していただけたら理解しやすいです。)

実はマスオさんには、いるかさんという愛人がいて、2人の間にはさわらという子どもまでいます。

関係図でいうと、こんな感じです↓

関係図

図にも書いていますが、この場合、

 ●たらお君→嫡出子(婚姻関係がある男女間で生まれた子)
 ●さわらちゃん→非嫡出子(婚姻関係がない男女間で生まれた子)

となります。

この状況でもしマスオさんが不慮の事故にあい亡くなってしまったら・・・

法定相続人は、妻のサザエさん、たらお君、さわらちゃんの3人となります(愛人のいるかさんは相続人にはなれません)。

そして、マスオさんが書いた遺言書はなかった場合、法律上で定められている「法定相続分」にのっとってマスオさんの遺産を分配すると、

まずサザエさんが2分の1を受け取れます。

その後、残った2分の1を子どもである、たらお君とさわらちゃんで分けるのですが、非嫡出子は嫡出子の半分しか相続する権利がありません。

そのため、サザエさんが相続した分の残り2分の1の遺産を、
嫡出子(=たらお君)と非嫡出子(=さわらちゃん)で、2:1の割合で分けます。
よって、

たらお君の相続分=2分の1×3分の2=3分の1

さわらちゃんの相続分=2分の1×3分の1=6分の1

ずつ、遺産が分配されることになります(あくまで法律の理論上ですが)。

サザエさんの気持ちはさておくとして・・・こういった場合であれば、
「愛人の子供だから、遺産を受け取れるのは半分でもしょうがない」と思える方も多いかもしれません。
(ちなみに私の妻は、半分すら許せない
と怒っていましたが・・・


ところが、嫡出子という定義上、同じ母親のお腹から生まれ育ってきた子どもでも、生まれたタイミングによって嫡出子と非嫡出子で分かれてしまうケースもあります。

と、ここまででもだいぶ長くなってしまいました。
またまたこの話のつづきは明日にすることにします
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