戸籍の読み方 ~ 戸主の隠居とは? ~

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です
いよいよ明日から夏の3連休がはじまりますね

さて、本日は「隠居」についてです。

古い戸籍を取得すると時々目にする「隠居」という言葉。 

昨日の「家督相続」の話のなかでも出てきた、戸主の「隠居」とはどのようなものなのでしょうか? 

 →2 昨日の記事「家督相続について」マウス

「 隠居 」 (いんきょ) とは・・・

旧民法にもあった制度のひとつです。
当時は、戸主(一家の主のこと)が亡くなることにより、長男がその一家の新しい戸主となる「家督相続」が一般的でしたが、「隠居」は、戸主が生前に一家の代表者をおり、新しい戸主へバトンタッチすることを指します。
 ※「隠居」も家督相続の要因のひとつです。

戸主には、昨日の記事にも書いたとおり、家族の統率・監督を行うための権限である戸主権が与えられます。
隠居後は、この「戸主権」という大きな責任からおりて、悠々自適な生活を送ることが多かったようです。

また、「隠居」は、「隠退」(いんたい)とも呼ばれています。

ちなみに、日本の民法上の「隠居」は、旧民法(明治23年(西暦1890年)公布)にも見られました

その後、明治31年(西暦1898年)に公布、施行された民法によって制度化、昭和22年(西暦1947年)に改正されるまで、「隠居」制度は続いていましたが、日本国憲法の施行に伴った民法の応急的措置に関する法律(昭和22年(西暦1947年)により、「戸主制度」の廃止と一緒に、「隠居」の制度は廃止されました。

では 「隠居」はどのようにして、行なわれるのでしょうか


「隠居」をするには、隠居者自身(もしくは隠居者の法定代理人)により隠居の意思表示に基づき、隠居者および家督相続人(新たに戸主となる人)が共同で役所に届出を行ないます。
記事(透過)
そうすることで、戸主が亡くなる前に「家督相続」が開始されます。

「隠居」手続きを行なえる条件もあります。
改正前民法によると、

◆ 普通隠居ができる条件 ◆

 ・ 年齢が満60歳以上であること
 ・ 判断能力を有する家督相続人が、相続の単純承認を為すこと

◆ 特別隠居ができる条件 ◆

 ・ 戸主が疾病により家政(家族の統率・監督などを行なうこと)を執ることができない場合
 ・ 本家を家督相続するため、現在の家の戸主を務められなくなった場合
 ・ 女性が戸主である場合

となります。
現代でも残っている「隠居」という言葉。
今までは、なんとなく使っていたかもしれませんが、結構奥深い意味があるのです。

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