取消しと撤回の違い(相続放棄の場合)

こんばんは。

相続対策コンサルタントの司法書士 鈴木敏弘です
今日は、先日の記事内でも出てきた、「取消し」と「撤回」という言葉についてです。
民法という法律で、相続を放棄すると、撤回することはできないと決められています。

相続放棄をしてみたんだけど、「やっぱり相続させてください」とは言えないのです。

 →詳しくは、エイプリルフールにちなんで、『ウソをつかれて相続放棄した場合どうなる?』

そのため、相続放棄をする際は、とても慎重に行なう必要があります。

そこで、撤回はできないけれども取消しはできるという場合、
『撤回』『取消し』って何が違うの?
と思いませんか?
私がはじめに聞いた時は、思いました(笑)
実際に、平成16年に民法が改正されるまでは、民法の条文も現在の撤回について、「取消し」と書かれていました。
このときの法律改正で撤回となったのですが、やはり意味合いは大きく違ってきます。
撤回とは、最初に書いたとおり、


相続放棄をしてみたんだけど、「やっぱり相続させてください」

こういう場合です。
一度、過去に相続放棄をしたことは確かに認めるけど、未来については放棄しなかったことにして欲しいということになります。
過去の宣言については認める&将来的な効果はなくなる、ということです。
じゃあ取消しとは、どういう場合かというと、過去に相続放棄をしたけれども相続放棄をしたこと自体をなかったことにして欲しいということです。
つまり、最初から相続放棄はしなかったことにするということが取消しとなります。
◆「取消し」→最初からなかったことにすること
(過去においても、未来においても否定すること)

◆「撤回」→過去は否定せずに、未来に向かってなかったことにすること
(過去のことは肯定するが、これから先の未来においては否定すること)
例:以前に相続放棄すると言ったことは認めるが、やっぱり相続することにする。
したがって、相続放棄をしたときに、取消しをすることによって、はなから相続放棄がなかったことにすることはできるのです。
その典型例は、他の共同相続人に詐欺や強迫されて相続放棄をした場合です。

それでも、たとえば、被相続人(亡くなった方)の借金が多く、相続財産がないと勘違いして相続放棄をしたところ、あとからプラス財産が出てきたという場合には認められにくいでしょう。

日本語って、ほんとに難しいですね。

同じ意味でも敬語、謙譲語等があって、外国の方で日本語を流暢に話しているのを見るとスゴイと思うのと同時に、そこまで日本語を勉強してくれたんだと嬉しくなります。

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