カテゴリー別アーカイブ: ★相続の用語集

相続における「特別受益」とは?

こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。

さて、今日は昨日の「寄与分」につづき、「特別受益」についてお送りします。

→ 昨日の記事「寄与分」とは?マウス


丸 『 特別受益 』 (とくべつじゅえき)とは

被相続人が生きていた間に、被相続人から特別の利益を受けていた相続人がいた場合、法定相続分どおりに遺産を分けるとなると、他の相続人からすれば「不公平」に感じるでしょう。こうした不公平感を是正しましょう、というのが、「特別受益」の制度です。

たとえば、被相続人(父)には子ども(長男と次男)が2人いたとします(母はすでに他界)。
父は長男の住宅ローンの一部である1000万円札束を負担していました。


このようなケースで、父の遺産総額3000万円の場合、法定相続分どおりに分けるとなると、子ども2人が相続人になるので、1500万円ずつです。
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ただし、長男は父の生前にすでに1000万円を住宅ローン一部として負担してもらっているため、次男からすれば、「その1000万円があれば、自分の相続分はもっと多かった。不公平だ」と思うかもしれません。


こうした場合に次男は「長男は特別受益を受けていた」と主張することができるのです。

要するに、“長男は生前、被相続人である父から相続財産の前払いをしてもらっていたので、その分は相続する権利がない”と主張することができる、ということです。

こうした「特別受益」を受けていた者となりうるのは、被相続人から

 1.遺贈を受けた
 2.婚姻や養子縁組のための贈与を受けた
 3.生計の資本としての贈与を受けた

者が対象となります。
なお、生活費の援助を受けていただけであるといったような場合、3.生計の資本としての贈与には該当しません。
その場合は、民法第877条(扶養義務者)に規定されている、扶養義務を履行したもの、と解釈されるためです。

ちなみに、被相続人が遺言等で、こうした特別受益について、「特別受益として扱わない」旨意思表示をすることもできます

そうした場合は、特別受益を受けていた者がいても、その分を特別受益として扱わず(考慮せず)、死亡時の財産のみを対象に、法定相続分によって遺産分割を行なうこととなります。

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相続における「寄与分」とは?

こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。

今日は、『 寄与分 についてお送りします。
丸 『 寄与分 』 (きよぶん)とは

「寄与分」とは、簡単に言えば、

“被相続人が生きていた間、どれだけ被相続人および被相続人の財産の維持および増加に貢献していたか”

によって、貢献度が高い相続人がいれば、その相続人には法律で決められた相続分以上の財産を取得させましょう、という制度です。

この「寄与分」とよばれる制度は、相続人間の公平性を保つため、昭和55年に導入され、昭和56年1月1日以降に相続が開始された遺産分割に適用されます。
どのような相続人にこの「寄与分」が適用、認められるかというと、
●被相続人の事業に関して労務の提供または財産の給付を行った人
●被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別に寄与した相続人
です。例としては、
・自らの仕事をやめて入院中の被相続人の付き添いをしてきた
・家業を継ぐ長男としてほぼ無休で被相続人である父の事業を手伝ってきた
・被相続人の自宅兼会社の増改築に資金を提供した
といった感じです。
ちなみに、相続人ではない方(例えば相続人の配偶者など)が上記のようなことをしていたとしても、残念ながら、「寄与」したとは認められません。
また「特別の寄与」というためには、妻が夫の看病をするのは夫婦として当然の義務であり、「寄与」したことにはなりません。
親が子どもの世話をするのも同様と言えます。
この「寄与分」については原則、相続人全員での話し合いで決めます。
もし話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申立て、相続人同士で争うことになりますいくさ

なお「寄与分」は、裁判をしても容易に認められるものではありません
一定の証拠書類等があっても、認められる可能性は高くないのです。
そのため、寄与分を主張したい相続人は、それなりの物的証拠および説明ができなければ、寄与分を認めてもらうことは難しいでしょう

明日は、この寄与分にも似た「特別受益」について、お送りいたします。

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直系卑属とは?

こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。

今日は、『 直系卑属 』 について、お伝えします。

丸 『 直系卑属 』 (ちょっけいひぞく)とは

自分(私)からみて、子どもや孫など、自分よりも下の世代であり、かつ直通する系統である親族のことを指します。

※昨日のブログでも書きましたが、「直通の系統」とは、私からみて子や、子の子(つまり私の孫)、子の子の子(つまり私のひ孫)、といったように直接つながっている血縁関係のことを言います。
つまり、私から見て甥や姪などは含まれません。


ただし、血のつながりがないとは言え、きちんと戸籍上で養子縁組していれば、養子も『直系卑属』に含まれます

ちなみに、自分の直系卑属であれば、自分が入っていない(明記されていない)戸籍であっても、昨日の直系尊属と同様に取得することは可能です。
そのため、自分が亡くなる前に、自分が亡くなった時の相続人を把握しておきたい、と収集される方も中にはいらっしゃいます

また、ご自身の家系図を作りたい、という方も、直系卑属が入っている戸籍であれば請求して取得することができます。

家系図作成は、ご自身の先祖をたどる、いわばルーツ探しのようなものです。
そして、子どもや孫、代々受け継いでいくことができる家宝にもなるものです。

家系図作成についても随時、ご相談、ご依頼を承っておりますので、少しでもご興味がある方はぜひ一度、当事務所までご相談ください

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