カテゴリー別アーカイブ: ★相続手続きについて

推定相続人は遺産を放棄できるのか?

こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。

先日このようなご相談をいただきました。

Q 私には疎遠になった娘が一人います。配偶者はいません。今現在とてもお世話になっている知人Aに、私の亡き後、すべての遺産を相続してほしい(娘には渡したくない)のですが、それは可能なのでしょうか?

また、できれば私が生きているうちに、娘には相続権を放棄してほしいのですが、可能ですか?

A 100%可能とは言い難いですが、遺言をのこすことで特定の人物に相続させることは可能です。
ただし、遺言があっても、娘様が相続権利を主張された場合、娘様にも遺産の一部(最大で遺産の半分)が渡る可能性があります。

また、生前に推定相続人(今回でいう娘様)に相続権を放棄してもらうことはできません。

どんなに自分の子が憎くても、そこは血縁関係がある以上、法的には最低限の権利を保障してあげましょう、というのが 『遺留分』 です。
 
→ 遺留分について詳しくはこちらマウス

もしこの遺留分について、上記の娘様が主張された場合は、遺言書で「知人Aにすべての財産を相続させる」と書いていても、遺言内容どおりに相続手続きを進めることは難しいでしょう。
(娘様が遺留分の主張をしなければ、遺言どおりに相続することも可能です。)

また、自分が亡くなる前に、推定相続人(上記で言うと娘様)に相続権を放棄してもらうことはできません。当人が亡くなるまでは、あくまで“推定”相続人であり、実際の権利が発生していないため、放棄することはできないのです。

だからといって、「じゃあ遺言をのこしても意味がないじゃないか」というのもまた違います

上記でいう『私の知人』にあたる方は、私(上記お客様)の血縁者ではないので、何もしなければ、私の財産を得る権利がありません。
ですので、財産を得る権利を生じさせるためには、やはり遺言書をのこす必要があるのです

遺言書を法的にも有効な書面とするには、一定のきまりがあります。
また遺言執行者も記す記さないで、相続手続き上、大きく異なってきます。
 → 遺言執行者の記載がない遺言書は・・・マウス

遺言書についても、無料相談を承っておりますので、よろしければ一度無料相談をご利用ください

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休眠口座ありませんか?

こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。

昨年2月頃、このような報道がありました。

『日本政府が休眠口座の預貯金の一部を、景気活性化のために活用することを検討している』

休眠口座とは、長期間取引がなされていない預金口座のことを言います。

そうした休眠口座は昨年時点で12億口座もあり、金額にして約850~880億円もあるそうです。
政府ではこうした預金を活用しようという話が出ていると言われています。

長期間にわたって、引出しも預入れもされていないため、口座をもっている本人がその存在を忘れているケースがほとんどです
本人すら忘れてしまっているのですから、その本人が亡くなってしまえば、その存在を遺族の方々が知ることは、とても難しいかと思います。

相続人が知らないのですから、もちろんその被相続人名義の預金口座は相続手続きがなされないまま放置されていきます。
そうしてどんどんと休眠口座は増えていくのです札束!

ではその休眠口座は最終的にはどうなるのでしょうか

法律的なことを言えば、長期間利用がない預金口座は、残高金額に関わらず、払戻す意思がないものとみなされ、5~10年で消滅時効が成立します(時効期間は、金融機関の種別によって異なります)。

ただし、時効が成立していても、払戻しに応じている銀行もあります。
また、銀行は基本的に時効の援用をすることがほとんどなく、実際には預金口座を5年以上放置していても、預金者(口座名義本人)はまたいつでも自由に口座の使用を開始することができるのが現状です。

※口座名義人本人が亡くなったことを銀行が知れば、その口座は凍結されるため、その後は時効とは関係なく、預金口座は一切利用できなくなります危険

実は私も先日、自分の休眠口座があることに気が付きました
偶然その銀行で新たな口座を開設する際、窓口の担当者の方に教えてもらって気付いたのですが、休眠口座はこのように意外と多くの人が持っているのかもしれません。

もし、“そういえば・・・”と思い当たることがある方は、今一度確認されると良いでしょう

預金口座があればあるだけ、のこされた相続人は相続手続きを行なう手間が増えます。
後々のこされた方に面倒をかけないためにも、必要最小限の預金口座に絞っておくことをオススメします

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『登記識別情報』とは?

こんばんは
相続対策コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です。

今日は不動産登記に関する情報をお伝えします。

以前は、不動産登記が完了すると、『登記済証』という、登記所の印鑑が押された書類が交付されていましたbook☆
これが俗に言う『権利証』とよばれるものなのですが、この権利証を持っていることで、その不動産を所有しているという証になる大切なものでした。

たとえば、その不動産を売買したり、抵当権を設定するため担保にいれる場合、その権利証が手続き上必要とされていました。

ところが、平成17年3月の法改正により、不動産登記の制度は大きく変化しました

一番大きく変わったのは、インターネットを使って、オンラインで不動産の登記申請が行なえるようになったことですが、権利証についても交付されないようになったのです。

そして、権利証に代わるものとして、新たに『登記識別情報』とよばれる登記所が無作為に選んだ12桁の英数字(0~9までの数字とA~Zまでの英語)が交付されます。


12桁の英数字の交付?と思われるかと思いますが、その12桁がその不動産を所有していることを証明するための暗証番号の役割を果たすのです。

その暗証番号を知っていることで、不動産の権利者と証明することができます。
逆にいえば、その暗証番号を第三者に知られてしまうと、不動産所有者を勝手に変更されてしまう恐れもある、ということです

※不動産を勝手に売却されたり、担保として抵当権を設定されたり等。
なお、交付される12桁の英数字は、登記所が作成した書面に記載されているのですが、その英数字の上には簡単にははがれないシールが貼られています。はがすとはがしたことがわかるような細工もしてあるシールです。
そのため、所有者本人も、そのシールをはがさなければ、すぐには12桁の英数字がどのようになっているのかを把握することはできません。


当事務所に登記をご依頼いただいたお客様には、下記写真のような『不動産登記権利情報』と題する一冊に、その不動産の情報(不動産評価額や登記状況等)とあわせて、密封された
『登記識別情報』(12桁の英数字が記載された書面)を綴じ込んであります。

書面自体を密封しているので、第三者が開けたらすぐにわかるようになっています(そもそもシールをはがした段階で気付くかと思いますが、二重の対策を兼ねています)。

もし相続や売却等で、その不動産の所有者を変えたい場合は、その12桁の暗証番号を登記所に提示することが必要になりますので、交付されたら第三者に知られないよう、必ず大切に保管していただくようお願いいたします。

また、今現在お持ちの、以前登記した際に交付された権利証も、権利をもっている人が変わっていなければ有効な権利証です。そのため、権利証をお持ちの権利者の方は、これまで通り、大切に保管をしてください。
※相続や売買等で権利者が変わる際、必要になります。

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