カテゴリー別アーカイブ: ★相続手続きについて

遺産の分割を禁止することはできるのか?

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です

今日は、遺産分割についてです。

遺言で、5年以内の期間であれば、遺産の分割を禁じることができます。

そもそも、遺産分割は、
相続が発生した後であれば、いつでも行なってよいとされていて、時期的制限は設けられていません。

たとえば、相続人のうち一人が若年者である場合、「 判断能力が未成熟であるため、判断能力が成熟するまで遺産の分割を禁じる 」、といった遺言を生前に残すことによって、遺産分割の早期分割を防ぐことができます。

このような場合で遺言がなければ、相続が発生してすぐ
遺産が分割れてしまい、相続紛争が深刻化するといった事態も予想されるので、一定期間は遺産の分割を禁止する、実益があると言えます。

◆ 遺言による遺産分割の禁止 ◆

(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止) 民法第908条

 被相続人は、遺言で、遺産の分割方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

上記民法第908条で定められているとおり、被相続人は、生前に遺言をのこすことによって、5年以内の期間内であれば、遺産の全部またはその一部について、分割を禁ずることができるのです。メモ


ちなみにこの遺産分割の禁止は、生前であれば、かならず遺言によって行なう必要があります(生前に行なう場合、遺言以外の方法で指定することは認められません)。

また、生前ではなく、相続が開始された後であれば、家庭裁判所によっても遺産分割を禁ずることができます。
裁判員制度

◆ 家庭裁判所によって遺産分割を禁止する場合 ◆

相続が開始された後に、「 特別の事由 」 がある場合、家庭裁判所は、遺産の全部またはその一部について、期間を定めて遺産の分割を禁じることができます。

上記でいう 「 特別の事由 」 とは、すぐに
遺産分割を行なうべきではない、ふさわしくない理由のことを指しています。
たとえば、冒頭例としてあげた、「相続人が若年者」である場合がこれに当たります。

その他、相続人全員が合意するならば、一定期間遺産の分割を禁じることもできます

そもそも、
相続人全員が納得して遺産を分配し合うのが、本来の形であるため、相続人全員が納得さえしていれば、遺産を共有化しておいても問題ない、というのは当然の話ですね

以上、遺産分割の禁止についてのお話しでした

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葬儀にかかる費用の平均額について

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です

葬儀費用についての全国平均額は、財団法人日本消費者協会(平成22年調査)によると、 

199.9万円

となっています。
約200万円・・・結構かかると思いませんか? 

ちなみに、各地域別にみてみると(関東圏内)、また平均額も若干変わってきます。 

◆ 関東A(茨城・群馬・千葉・栃木)の葬儀費用の総額 ◆

  → 228.2万円

◆ 関東B(東京・埼玉・神奈川)の葬儀費用の総額 ◆

  → 222万円 

関東A地域のほうが、若干高めですね

また、各段取りにかかる費用の平均額は以下のとおりです。
 

・ 葬儀一式の費用
  → 126.7万円
・ お寺へのお布施(読経、戒名含む)
  → 51.4万円
・ 飲食接待費(通夜、葬儀等)
  → 45.5万円

葬儀にかかる費用は、葬儀を行なう会場の規模や祭壇におけるグレードの高さ、装飾品などによっても大きく変わってきます。
焼香

どこで、何を選択していくかで、かかる費用も大きく異なっていきますので、なかなか冷静な判断をするのは難しい心情かもしれませんが、周りのご親族様ともよく話し合って、落ち着いて決めていくのが良いかと思います
喫茶店

また、 

「こんなに費用を用意できない!どうしよう・・・
 

とお悩みの方。

忘れてはいけません!
香典という存在があります

香典をいただく分を考えれば、がんばってお葬式の全費用を捻出しようとしなくても、大丈夫です。 

香典は以前の記事でもお伝えしたとおり、遺族の収入となるため、被相続人(故人)の相続財産にはなりません。


 
→ 「相続税がかからない財産は?」マウス

また、葬儀費用については、
相続財産から控除しても良いとされているため、

◆ 葬儀費用は、香典と相続財産の一部を使って精算
 

しましょう。
その上で、残った相続財産を相続人で話し合って配分(もしくは遺言書をもとに配分)します。

逆に、相続財産を使っても、葬儀費用のほうが多くかかってしまった場合、ご遺族様(相続人)が負担しなければなりません

また、注意しなければいけないのが、香典のお返しについてです。 

◆ 香典返しの費用は、相続財産から控除できません。

◆ 葬儀で参列者にお返し物としてお渡しするものについては、「会葬御礼」となるため、相続財産から控除してもかまいません。

一般的に、誰しも一度は相続人になることが多いため、少しでも今後のお役に立てば光栄です。

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異父・異母兄弟の法定相続分について

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です

今日は、「異父・異母兄弟の法定相続分」についてお伝えします。

たとえば、父 X が、前妻 Y との間に、子ども「C」がいるとします。

そして、後妻 Z との間に、子ども「A」と「B」がいるとします。

父 X 、前妻 Y 、後妻 Z 、いずれもすでに亡くなっています。

そして今回、子ども「A」が亡くなりました。

図解にすると、このような感じです↓
 

異母兄弟

※画像をクリックすると大きな画面が出ます。

図解で説明しますと、グレー表記されている人は、すでに亡くなっています。
今回亡くなったA(オレンジ色)は、結婚しておらず、子どももいませんでした。

その場合、両親(祖父母も)とも、すでに亡くなっていますので、法定相続人は、図解でいうと緑色の、「B」「C」となります。
 →2 法定相続人とは?マウス

この場合 B、Cそれぞれの法定相続分は、

B → 法定相続分は、相続財産の 3分の2
C → 法定相続分は、相続財産の 3分の1

となります。
※Aが遺言書をのこしていない場合です。

相続分の割合が違うのは、「全血」兄弟か、「半血」兄弟か、で決められるためです。

被相続人からみて、「半血」兄弟(※父母どちらかしか同じでない兄弟)の場合、「全血」兄弟(※父母ともに同じ兄弟)と比べて、相続割合は2分の1減らされます。

法律上は、全血でも半血でも、同じ兄弟姉妹として扱われますが、相続となると、このような違いが出てきます。

ちなみに、兄弟姉妹に、遺留分はありませんので、
もし異父・異母兄弟に少しも財産を残したくない!と思う場合は、遺言書をのこしておくと良いでしょう
 →2 遺留分とは?マウス

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