
今日から数日間、相続人が認知症の場合について、
どのような相続手続きを進めることになるのか、いくつかのパターンに分けて 簡単にお伝えします。
相続人が認知症の場合、遺産相続手続きには「法定後見」制度の利用が必要となります。
「法定後見」制度とは、認知症や知的障害、精神障害などの理由で、判断能力の不十分な方々のためにある制度です。
上記のような症状がある方が、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護サービスや施設入所に関する契約を結んだり、遺産分割協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。
また、自分に不利益な契約であっても、よく判断ができず、契約を結んでしまって悪徳商法の被害にあう恐れもあります。
このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度が
成年後見制度 です

※認知症の相続人がこの制度を利用せず相続手続きを行なって、手続きを完了させたとしても、その手続き自体が法律上無効になってしまう恐れがあります

明日は、この法定後見について、より詳しくご説明いたします

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密葬とは
テレビなどでも著名人が亡くなった後、「親族や親しい友人だけで密葬を行なう」などと報道されることがありますが、近年、密葬を行なう人が増えてきているようです。
密葬は、家族葬ともよばれています。
一般的には少人数で行なわれますが、人によっては数百人規模で行なわれる密葬もあります。
では、葬式と密葬の違いは?
それは、参列者をオープンに受け入れるかどうかという点です。
一般的に行われている通夜や葬式は、親戚や親しい友人だけでなく、生前関係があった会社関係者や取引先、近所の人々なども含め、多くの人が参列します。
そのため、葬儀を行なうにあたっては、各所に連絡したり、参列者へのあいさつ等、遺族に重い負担をかけることになります。
費用面についても、通夜・葬儀における飲食の用意等の金銭的負担があり、また出席者の数を事前に把握することも困難なため、金額の予定を立てること自体も難しいです。
では、密葬はと言うと、基本的に親族や生前親しかった友人など近親者を集めることになるため、あらかじめ出席人数を把握でき、飲食の準備等、予定をたてやすくなります。
また密葬は、全体的な規模も大きくはないため、金銭的負担も軽くなります。
ただし、密葬を行なう上で気を付けなければならない点もあります
密葬では、把握している限りの近親者にのみ亡くなった事実を伝えるため、連絡すべき人への連絡が漏れてしまうケースもあるのです。
そのような場合、
「なぜ私へ知らせてくれなかったの?」
などと、葬儀が終わった後にクレームを言われてしまうこともあるでしょう。
また、葬儀が終わった後、
「葬儀に参列できなかったので、お線香だけでもあげてよいでしょうか」
など、突然の来客訪問に長期間悩まれるケースもあります。
一般的な葬式を行なっていれば、このようなことはあまりないでしょう。
一時の精神的・金銭的負担の軽減を理由に 密葬を選択すると、
逆に後々 長期間にわたって負担を強いられるということも考えられますので、安易に密葬を選択されるのは避けた方が良いでしょう。
何より一番重視すべきは故人の意思ですが、葬儀のやり方や進め方については、ある程度周りの人たちと話し合いながら決めていくのがベストです
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相続権を他人に売れる?

今日は、相続権の譲渡についてお話したいと思います。
相続が発生し、相続人同士でモメてしまうことはよくある話ですが、
遺産をどのように分割するか、話し合いを重ねるたびに疲れてしまい、
相続人のなかにはもううんざりして「何でもいいから早く終わってほしい」と願う人も多くいると思います。
このような場合、案外知られていない、検討すべき方法があります。
遺産分割をする前に、自分の相続分を他人に売ることです。
これを「相続分の譲渡」といいます。
相続分の譲渡をする相手は、自分以外の相続人でも、全く関係のない第三者にも売ることができます
まぁ、通常は自分以外の相続人に売るケースが多いです。
その理由としては、全く関係のない第三者に売ってしまうと、ただでさえまとまらない遺産分割協議が、さらに難航してしまう可能性が高いからです。
ちなみに、いくらで売ってもかまいません。
売る人と買う人双方が納得する値段で決めてよいのです。
つまり、タダでも良いってことです
さらに、譲渡することを他の相続人に相談する必要もなく、同意してもらう必要もありません
譲渡をすると決めたら、口約束でも問題はないといえばないのですが、
のちにモメたりしないためにも、通常は書面(契約書)形式で証拠を残しておくことが多いです。
契約を交わした後は、他の相続人に譲渡したことを伝えます。
そして、譲渡した後はもう相続権がありませんので、その後の遺産分割協議に参加する必要がなくなります
ただし、相続人ではない第三者が譲り受けた場合、他の相続人が「相続分取戻権」を行使する可能性があります。
簡単に言うと、第三者が譲り受けた相続分を元通り返してもらうために、残された相続人が第三者へこれまでかかった費用を返す、ということです。
また、譲渡された人にはもちろん税金という負担もかかってきます。
譲渡された人(譲受人)が
相続人の一人であれば、その譲受人の相続税負担分が多くなる可能性があります。譲渡された人が相続人ではない第三者の場合は、
タダで譲渡したならば譲受人が贈与税を申告する必要があり、
有償ならば譲渡人(もともとの相続人)が譲渡所得として申告しなければなりません。
譲受人が法人の場合には、さらに難解になります(ややこしいので、ここでは説明を省きます

いずれにせよ、税金面で考えると、通常の相続手続きよりもかなり複雑になってしまう可能性があり、この方法を利用する場合、注意が必要です

あまり、そういったケースは聞かないのでほとんどないと思いますが。。。
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