相続権を他人に売れる?

こんにちは。

相続対策コンサルタントの司法書士 鈴木敏弘です

今日は、相続権の譲渡についてお話したいと思います。

相続が発生し、相続人同士でモメてしまうことはよくある話ですが、
遺産をどのように分割するか、話し合いを重ねるたびに疲れてしまい、
相続人のなかにはもううんざりして「何でもいいから早く終わってほしい」と願う人も多くいると思います。

このような場合、案外知られていない、検討すべき方法があります。

遺産分割をする前に、自分の相続分を他人に売ることです。

これを「相続分の譲渡」といいます。

相続分の譲渡をする相手は、自分以外の相続人でも、全く関係のない第三者にも売ることができます

まぁ、通常は自分以外の相続人に売るケースが多いです。

その理由としては、全く関係のない第三者に売ってしまうと、ただでさえまとまらない遺産分割協議が、さらに難航してしまう可能性が高いからです。

ちなみに、いくらで売ってもかまいません。
売る人と買う人双方が納得する値段で決めてよいのです。

つまり、タダでも良いってことです

さらに、譲渡することを他の相続人に相談する必要もなく、同意してもらう必要もありません

譲渡をすると決めたら、口約束でも問題はないといえばないのですが、
のちにモメたりしないためにも、通常は書面(契約書)形式で証拠を残しておくことが多いです。

契約を交わした後は、他の相続人に譲渡したことを伝えます。

そして、譲渡した後はもう相続権がありませんので、その後の遺産分割協議に参加する必要がなくなります

ただし、相続人ではない第三者が譲り受けた場合、他の相続人が「相続分取戻権」を行使する可能性があります。

これは、相続人が譲渡価格と譲渡に要した費用を返し(支払い)、譲渡された相続分を譲り受けるという制度のことです。
簡単に言うと、第三者が譲り受けた相続分を元通り返してもらうために、残された相続人が第三者へこれまでかかった費用を返す、ということです。

ただ、この相続分取戻権を行使できるのは、譲渡されてから1か月以内です。
また、譲渡された人にはもちろん税金という負担もかかってきます。

譲渡された人(譲受人)が相続人の一人であれば、その譲受人の相続税負担分が多くなる可能性があります。

譲渡された人が相続人ではない第三者の場合は、
タダで譲渡したならば譲受人が贈与税を申告する必要があり、
有償ならば譲渡人(もともとの相続人)が譲渡所得として申告しなければなりません。
譲受人が法人の場合には、さらに難解になります(ややこしいので、ここでは説明を省きます)。

いずれにせよ、税金面で考えると、通常の相続手続きよりもかなり複雑になってしまう可能性があり、この方法を利用する場合、注意が必要です!

あまり、そういったケースは聞かないのでほとんどないと思いますが。。。

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