今日は昨日のつづき、「遺言が無効となるケース」についてご説明します。
昨日の記事「遺言が無効となるケース①」はこちらから
昨日と同様、せっかく遺言書を書いても無効にならないように、
または発見した遺言が無効ではないか確認するために、
相続手続き上、問題になることが多い自筆証書遺言について、主に説明いたします。
15歳未満でも遺言を残すことはできる?
今の時代、15歳未満=子どもとは言い難いのが現実ですが、
法律上 遺言することができる年齢の基準は、満15歳以上と決められています。
遺言者は、遺言の内容を理解し、遺言の結果どうなるのかをきちんと認識していることが求められます。
そのため、たとえば高度の認知症などで、正常な判断力や理解力、表現力がかけていると判断された場合、遺言は無効となります。
夫婦で一緒に遺言書を1通作成しても良い?
二人以上の人間が1通の遺言書で遺言をすることは、禁止されています。
何通も遺言書が出てきた場合は?
遺言書が2通以上出てきた場合、書かれている内容が異なる部分については、日付の新しい遺言(後から書かれたもの)の内容が有効となります。
それは、自筆証書遺言、公正証書遺言などの種類に関係なく、日付の新しいものが有効となります。
遺言書が偽造されていたら?
もし相続人のひとりが、自分の都合が良いように遺言書を偽造していたら、その相続人は「相続欠格者」となり、相続権を失います。
相続欠格者とは、
・被相続人(故人)や先順位・同順位の相続人を故意に殺して、または殺そうとして罰せられた人
・被相続人をだましたり脅迫したりして、遺言を書かせた人
・遺言書を捨てたり隠したりした人
などのことを指します。
そのほか、相続権を失う制度として「相続廃除」があります。
これは、配偶者や子、直系尊属(実の父母や祖父母など)が、被相続人を虐待したような場合に用いられます。
この相続廃除を行なうには、家庭裁判所で手続きをする必要があります。
相続欠格も相続廃除も、その該当者が相続権を失うと代襲相続となり、相続権を失った該当者の子どもが相続人になります。
代襲相続とは?
以上、2日にかけて、遺言が無効となるケースをあげてみました。
例としてあげたケース以外にも、無効となるケースは様々あります。
せっかく書くのですから、大切な遺言が無効とならないように、
専門家と相談しながら法的にも有効な遺言書を書かれてはいかがでしょうか?
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遺言が無効となるケース①
今日は、「遺言が無効となるケース」についてご説明します。
せっかく遺言書を書いても無効にならないように、
または発見した遺言が無効ではないか確認するために、
相続手続き上、問題になることが多い自筆証書遺言について、主に説明いたします。
被相続人(故人)が自ら書いたものであるか?
自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名をすべて自分で書いて、これに押印する必要があります。
「自筆」なので、パソコンなどを使って作成されたものは無効になります。
つまり、遺言者が字が書けないと残すことはできませんし、筆跡が遺言者本人のものではない場合、その遺言は無効となります。
自筆で書けない場合は「公正証書遺言」もあります。詳しくはこちらへ
記載する日付に決まりはある?
遺言の作成時を特定するため、日付は必ず書く必要があります。
書いていない場合は、無効となってしまいます。
日付は確定できれば良いので、「私が定年退職をした日」や、「50歳の誕生日」などと日付を記入しても無効とはなりません。
ただし、「2012年4月吉日」だと、日付が特定できず、無効となるので注意です!
氏名は芸名でも良い?
記載する氏名は、戸籍上の本名はもちろん、通称やペンネームでも問題ありません。
作家や芸能人の方であれば、芸名を書いても無効とはなりません。
押印する印鑑は認印でも良い?
遺言書に押印する印鑑は、実印である必要はありません。
普段使用している認印でも良いのです。
また、場合によっては拇印(ぼいん)でも認められることがあります。
無効となるケースはまだまだあります
長くなってしまうので、このつづきはまた明日とします
つづきを更新しました「遺言が無効となるケース②」へ
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遺言書と遺書の違い
今日は、よく聞かれる
「遺言書と遺書って何が違うの?」
という疑問にお答えしたいと思います。
以前からこのブログでも書いていますが、「遺言書」=死を連想し、縁起が悪いものと考えてしまう日本人がとても多いです。
確かに、遺言書は、いつかかならず訪れる死を前に準備するものではあります。
遺書も、タイミングとしては、死を前にして書くものです。
けれど決定的に違う点があります。
遺言書 → 法的効力があります。
遺書 → 法的効力がありません。
この“法的効力”という点がまったく違います
そのほかにも色々違いがあります。
「遺言書」には主に、自分の死後、のこされた家族が困らないようにお金を誰々にいくら残したい、財産をお世話になった人にあげたいなどと、自分がこの世を去った後に
自分の愛情や想いを積極的に伝えるメッセージ
です。
そして、遺言書には、一定の決められた形式(日付、署名、捺印等)があり、その基本形式がなければ、法的に無効な遺言書となってしまいます。
「遺書」は主に、自殺をしようとする人が、死ぬ前に書き残していく
消極的なメッセージ
です。
遺言書と違って遺書は決められた形式がなく、個人の自由形式でOKです。
日本で遺言書がなかなか一般化しないのは、同じ「死」を連想させる遺書と遺言書が同じもののように連想されてしまっているせいなのかもしれませんね。
遺言書は、これからを生きる後世のため前向きな気持ちで書くもの。
遺書は、今までの自分の人生にケリをつけるために書くもの。
しつこいようですが最後にもう一度・・・
遺言書と遺書は違います
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