遺言書の検認手続きについて

こんばんは。
相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です


今日は遺言書についてです。

遺言書には、3つの種類があります。
 → 詳しくはこちら「3種類の遺言書とは」マウス

 1.自筆証書遺言
 2.公正証書遺言
 3.秘密証書遺言

これら3種類には、決定的な違いがあります。

2番の「公正証書遺言」は、すでに法的にも有効な書類の一種になりますので、この遺言書に基づき相続人間で遺産分割をして、預貯金や株式等の名義変更手続きを進めることができます。

2番の遺言書は、公証人(文書を法的にも有効な書類として証明・認証する公務員)が作成しているので、改ざんや偽造、変造などの恐れがなく、そのまま使えるのです。

1番と3番の遺言書については、2番の遺言書と違い、そのまますぐに使える文書ではありません。
「これは遺言書です」と法的にも認めてもらうため、裁判所での手続きが必要となります。

その手続きのことを、

「遺言書の検認」

と言います。
よって、1番または3番の種類にあたる遺言書を発見した場合、家庭裁判所で検認手続きを行なう必要があります。

2番にあたる遺言書は上記のとおり、作成時にすでに法的に有効な書面となっておりますので、検認の必要がありません。

●検認とは

「検認」とは、家庭裁判所の裁判官が、相続人等の立ち会いのもと、遺言書を開封して内容を確認することです手紙

これは、決して遺言の内容についての法的判断をする手続きではありません。
検認をしたからと言って、その遺言書の法的効力があるわけではないのです。

では、なぜわざわざ検認する必要があるの?
と思うかもしれません。

検認手続きは、相続人に対して、遺言書の内容を明確に表示して、
確かに被相続人の遺言はあったのだと証明し、
遺言内容の偽造や変造を防止するための手続きになるのです。

よって、検認手続きはあくまで、遺言書の偽造や変造などの疑いをなくし、相続手続きをスムーズに行なうための手続きの一種、と考えましょう

●遺言書は自分で開封しちゃダメ?

上記2番の種類にあたる遺言書(謄本)があったとしたら、開封しても問題ありません。

もし1番または3番の種類にあたる遺言書があったら、検認手続きまでは開封しないでください。

封印してある遺言書を勝手に開封したり、検認をしないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられます。逮捕

●絶対検認してもらわなきゃダメ?

上記1番と3番の種類にあたる遺言書があったとして、もし検認手続きをしなかったとしても、その遺言自体が無効となるわけではありません。

また、勝手に開封しても遺言内容自体は有効です。

ただし通常、遺言内容に従った不動産登記を行なう場合、その他預貯金の解約手続き等を行なう場合には、検認が済んでいない遺言書を使って手続きすることはできませんので、ご注意くださいWARNING

●検認当日は相続人全員の出席が必要?

相続人全員が検認手続きを見届ける必要はありません。

もし検認当日、立ち会わなかった相続人や利害関係者がいれば、
その人たちに対して、検認が終了した旨の通知書が裁判所から送付されます〒

 本日のポイント 

・ 公正証書遺言以外の遺言であれば、家庭裁判所で検認手続きをする必要がある。
・「検認」とは遺言内容の表明および遺言の存在を法的に立証するために行なう。 
・公正証書遺言以外の遺言書を見つけたら、自分で開封しない。