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9-2 限定承認について ~限定承認のメリットデメリット~

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です

今日も昨日につづき、「限定承認」についてです。
 →2 昨日の記事「限定承認について」はこちらマウス 

「限定承認」を行なう上でのメリット・デメリットを簡単にまとめてみましたので、以下ご参照ください。 

< 限定承認を行なうメリット >

・ プラス財産の方がマイナス財産よりも多かった場合、清算後残ったプラス財産を相続することができる

・ 万が一、マイナス財産の方がプラス財産よりも多かった場合、清算後残ったマイナス財産は0円とすることができる

 → つまり、プラス財産からマイナス財産を差し引いてもマイナス財産が残ってしまった場合、自分の資産を切り崩してまで返済する必要がない=0となる、だけです。

< 限定承認を行なうデメリット >

・ 手続きが煩雑なため、個人で行なうことが難しい
 → 専門家に依頼するため、費用がかかる

・ 裁判所を介しての手続きとなるため、時間がかかる

・ 相続人全員で手続きを行なう必要がある

また、「限定承認」手続きは、相続財産のすべてを把握しきれず、プラスとマイナスの金額差も微妙なラインだなーという場合、とても有効な手続きなのですが、現実的にはあまり利用されていない制度になります。

 家庭裁判所で実際に受理された件数

・ 限定承認手続き ・・・ 約 万件
・ 相続放棄手続き ・・・ 15万件
※司法統計年表(2006年)より抜粋 

上記数字からもわかるとおり、相続放棄手続きと比べて、なぜあまり利用されていないのかというと、デメリット項目にもあるとおり、個人で行なうことが難しいことが原因です。

個人で手続きすることが難しいため、一般的には司法書士や弁護士等専門家に依頼し、手続きを行なってもらうことがほとんどとなります。

また、手続きを敬遠される理由として、相続人全員での手続きが必要、というのも理由のひとつです。

相続人の中にひとりでも、

「そこまでしなくてもいいんじゃない?
という
方がいれば、手続きを進めることができません

相続財産が、預金や土地・家屋、借金など、金銭換価しやすいものであれば、相続放棄を行なうか早期に検討できますが、やはり、どちらが多いかわからない場合があります。

こうした場合に、最も有効な相続方法の手段が「限定承認」なのです。

またまた長くなってしまいました。つづきはまた明日・・・
→つづきを更新しました「限定承認の注意点」マウス

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9-1 限定承認について ~限定承認とは~

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です

今日はまた、相続手続き一覧の内容を更新いたします。
 矢印前回までの記事はこちらからマウス

今日は「限定承認」について、お伝えします。


  「限定承認」とは・・・

相続財産が、プラス財産だけではなく、マイナス財産もある場合、
プラス財産の範囲内でマイナス財産についても相続すること

を言います。

通常、マイナスの財産が多い場合は相続放棄手続きを行ないます。
その場合は、「一切の相続財産を相続しない(放棄する)」ことになるため、せっかくプラス財産があっても、すべて放棄しなければなりません。

ところが、「限定承認」という相続方法を使えば、

プラス財産 - マイナス財産 → プラス財産が残る

このような場合であれば、残ったプラス財産だけ相続することができます。
逆にもし、マイナス財産が残ってしまった(マイナス財産のほうが多かった)場合、相続しなくても良いのです。

要するに、相続財産の中でプラスとマイナスを差し引き(清算)し、
プラスになったら相続、マイナスになったら0円、ということです。

マイナスになるような場合、「相続放棄をしたほうがよいじゃないか!」と思われる方も多いかと思います。

確かにそのとおりなのですが、相続財産は土地や家屋、預金ばかりではないため、すべての財産を把握するのにとても時間と労力がかかります

すぐに(あまり時間をかけずに)「マイナス財産が多いな」とわかれば、相続放棄を選択するに越したことはないのですが、

「プラス財産とマイナス財産、
どちらが多いのか微妙でわからない

このようなときに、保険をかけるような手続きになるのです。
なぜなら、相続放棄は「相続が発生したのを知った時から3か月以内」にしなければならないのですから
 → 相続放棄手続きについてはこちらマウス

長くなってしまったので、つづきはまた明日にします

 →2つづきを更新しました「限定承認のメリットデメリット」マウス

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共同遺言の禁止について

こんばんは。

相続・遺言コンサルタント 司法書士の鈴木敏弘です

今日は遺言書についてです。

たとえば、夫婦とても仲が良く、一緒に遺言書を書こうと言って、2人で1枚の紙に遺言をのこしたとします。

2人以上の者がひとつの紙に遺言をのこすことを

「共同遺言」と言います。

どんなに仲が良かったとしても、
日本の民法という法律で、共同遺言は禁止されています。

<<民法第975条>>

共同遺言の禁止

 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。


では、なぜ禁止されているのでしょうか

それは、

・ 各遺言者が、他方の遺言者に気を遣い、自分の本当の意思をのこせなくなる
・ どちらか一方が内容を変えたいと思っても、自由に変えられない
・
 相手の意思に左右されてしまい、自分の意思をきちんと反映できない

などという恐れがあるため、法律で禁止されているのです。

遺言は、自分でのこす最後の意思表示です。
よって、遺言は他人の意思などに決して左右されないように作成し、また内容を変更したい時に自由に変更できるのが、本来のあり方です。

また、次のようなケースでは、共同遺言にはなりませんので、大丈夫です。

・ 2人以上の者が書いた遺言書を、ひとつに合わせて綴ってある場合 
 
 → この場合は、綴ってあるものをそれぞれ切り離し、各人それぞれの遺言1通ずつに分けられる場合は、それぞれ各1通ずつ法的にも有効な遺言書となります。 

・ 2人以上の者が、別々の紙に記載した遺言書を、同一の封筒に入れている場合

 → この場合は、それぞれどちらも法的にも有効な遺言書となります。

遺言書は、自分が最後にのこす、大切なメッセージとなりますので、
どんなに仲が良くても、かならずおひとりで、
ご自分の想いを伝える内容にしましょうメモ

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